子宮鏡手術について
内視鏡手術について
子宮鏡手術とは
子宮鏡という電気メスのついた特殊な内視鏡を子宮の入り口から挿入し、内視鏡で画面に映しながら子宮の中にできた子宮筋腫やポリープを切除する手術方法です。画面で見ながら手術ができるのでほぼ確実に切除することができ、また安全に手術することができます。また、体の負担も少なく入院期間も通常2泊3日と短期間です。しかし、その視覚の限界や操作の困難さのため高度な技術が必要となります。当院の子宮鏡手術には必ず日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医が立ち会います。
当院における子宮鏡手術の適応
子宮粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープなど。
子宮鏡手術で予想される合併症や偶発症と危険性
- 1.大量出血、ショック
- 子宮は赤ちゃんを育てるための臓器であり、そのため血流が豊富です。子宮筋腫は削りながらとるため大量出血をすることがあり、また止血しにくいことがあります。出血が大量になると体中の血液が少なくなりショック状態となります。場合によっては輸血となる可能性や、止血のため開腹手術となる可能性があります。
- 2.他臓器損傷
- 特に子宮筋腫が子宮の外側に近い場合、削ったときに子宮に穴が開いてしまう場合があります。場合によっては子宮外の腸などの他臓器を損傷してしまう場合もあります。損傷した場合修復することになりますが、その場合開腹手術となる可能性があります。
- 3.術後出血
- 子宮鏡術後しばらく、長いときには2週間ほど性器出血が続くことがあります。確実に止血を確認してから手術を終了しますが、それでも手術後に再出血を起こすことがあります。場合により、再手術が必要になることがあります。
- 4.感染症
- 通常、子宮内は無菌状態となっていますが、手術することによりばい菌などが少し入ることになります。ほとんどの場合、抗生剤投与により予防できますが、それでも重症感染症を起こすことがあります。
- 5.血栓症
- 手術後しばらくは体の防御反応で血が固まりやすい状態となります。また手術当日は安静状態になるので、体中の血管に血の固まりができやすくなります。肺の血管や下肢の血管に特にできやすく注意が必要です。手術中から足をマッサージする機械を使ったり、術後早期に動いてもらうことで万全の態勢で予防していきます。
- 6.腸閉塞
- 手術後は腸の動きが一時的に悪くなるため腸閉塞が起こることがあります。その場合食事の開始が遅れ入院期間も延長となることがあります。術後、早期に動いてもらうことで予防していきます。
- 7.水中毒
- 子宮鏡手術の場合、子宮内に水を入れて膨らませるため大量の水を使用します。稀に血管内から水が入ってしまい、体中の血液が薄められ水中毒と呼ばれる状態になることがあります。重症の場合、手術が途中で中止になり、点滴治療のため入院期間が延びてしまうことがあります。
子宮鏡手術術後の注意点
子宮鏡術後はしばらくの間、性器出血が続きますが、手術の影響ですので心配いりません。長いときには2週間ほど性器出血が続くことがあります。不妊症や過多月経の原因は多岐にわたります。子宮筋腫だけが原因とは限らず、たとえばホルモンのバランスなどが原因であることもあります。その場合、手術がうまくいっても症状が改善しない場合があります。
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