不育症検査の流れ
不育治療について
不育症の検査の流れ
- 奥さまの検査
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- ・内診、超音波検査、子宮卵管造影、子宮鏡検査
- ・血液検査
- ・ホルモン測定(LH、FSH、プロゲステロン(P4)、プロラクチン・甲状腺機能検査)
- ・血糖値測定
- ・感染症検査(B型肝炎、C型肝炎、梅毒、クラミジアなど)
- ・染色体検査
- ・血液線溶凝固因子(一般検査およびプロテインC、S活性検査、第XII、XIII因子)
- ・自己抗体検査 (抗核抗体、抗カルジオリピン抗体、抗カルジオリピンβ2GP1抗体、抗フォスファチジルセリン抗体、抗フォスファチジルエタノールアミン抗体、ループスアンチコアグラント)
- ご主人の検査
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- ・染色体検査 詳しくは「不育症に対する末梢血染色体検査について」をご参照ください。
不育症検査費用の目安
不育症検査はほとんどが保険適応外となるため、料金が高額となります。
料金については「費用について」をご参照ください。
治療方針・実際の方法・治療法別成功率・費用など
- ヘパリンおよびアスピリン併用療法
- 比較的新しい治療方法で抗リン脂質抗体症候群(抗リン脂質抗体とよばれる抗体が陽性で血栓を作りやすく、過去に流産を繰り返してしまった方だけではなく原因不明の子宮内胎児発育遅延や死産の既往がある方)、凝固線溶系の異常のある患者様が対象となります。
もともと別々の機序で血液を固まりにくくする作用のある2種類の薬を組み合わせることにより血栓(血液のかたまり)を作りにくくし、結果として流産を防げると考えられていますが、最近ではヘパリンには免疫系にもはたらく効果があるのではないかともいわれています。
詳細は「ヘパリン療法について」をご参照ください。 - 夫リンパ球免疫療法
- 比較的古くから行われている治療法で、そのメカニズムは明らかにはされていませんが、簡単にいえば『本来お母さんの体にとっては異物である赤ちゃんが免疫のはたらきで排除されるのを防ぐ』はたらきを強めると考えられています。
近年の報告では、効果がはっきりと認められず、また、リンパ球療法により自己抗体が誘導されることがあり、これは新たな不育症の原因になりうることがあるので、行われることが少なくなってきています。
※当院では現在夫リンパ球免疫療法は行っていません。 - その他の治療
- 甲状腺機能異常や高プロラクチン血症に対する治療や、黄体ホルモンを補充する治療は必要に応じて並行して行っていきます。子宮の奇形や子宮筋腫に対しては手術療法として子宮形成術やレゼクトスコープ(子宮鏡を用いて筋腫を切除する方法)などを行うこともあります。
原因が不明の場合、経過観察をすることになります。それでも最終的には70%以上のカップルが元気な赤ちゃんを産むことができます。 - 治療後も再度流産してしまった場合
- それぞれの治療方法で約80%の患者様が妊娠の維持に成功している一方で、残念ながら2割の方は再度流産してしまっているのが現状です。
治療にも関わらず流産してしまった場合、流産処置を行うとともに、流産の原因を解明する必要があります。
初期に流産してしまった赤ちゃんを調べるとその約60%に染色体の異常があることがわかっています。そのため、流産の原因が赤ちゃんそのものにあったのか治療の効果がなかったためなのかを判断し、次回の治療方針を決めるうえで赤ちゃんの染色体の検査が非常に重要になります。
保険がきかないため高額(約12万円)ではありますが、流産してしまった赤ちゃんの染色体検査をお受けになることをおすすめします。 - 何か不明な点があれば遠慮なく担当医にお申し出ください。
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