不育症に対する末梢血染色体検査について

ヘパリン療法について » 

不育症に対する末梢血染色体検査とは

不育症のなかでも特に習慣流産とは、自然流産を3回以上繰り返すことをいいます。習慣流産の原因は様々ですが、そのうち約5%のカップルにおいて均衡型転座という染色体構造異常が認められます。2回以上の流産の後に均衡型転座保因者と診断されたカップルの流産率は約70%にもなるとされています。しかし、習慣流産の染色体転座保因者における自然妊娠での累積生児獲得率は約70%とかなり高いこともわかっています。この検査は、末梢血液(採血した静脈血液)中の白血球から染色体を取り出しGバンド法という特殊な染色を行って染色体の数や構造の異常がないかをみる検査です。

不育症に対する末梢血染色体検査を実施した場合

この検査では染色体の数や構造の異常の有無はわかりますが、それ以外のことはわかりません。また、染色体異常に関しても微小な染色体異常やモザイク(細胞によって正常と異常が混ざっている)などは検出されない場合があります。また、予期せぬ染色体異常や知りたくない情報がわかってしまう場合があります。染色体異常が診断されても治療方法はありません。
均衡型転座の場合、理論的には2分の1の赤ちゃんは染色体の数は正常となり、4分の1の赤ちゃんは構造も含め正常となります。最終的には7割のご夫婦が元気な赤ちゃんを産むことができるとされています。染色体異常の赤ちゃんであった場合は流産を防ぐことはできません。
もし御両親に染色体異常がみつかり、その後の妊娠が継続できた場合には念のため赤ちゃんの染色体検査(羊水検査)をおすすめしています。

近年では着床前診断という方法もあります。体外受精を行い、受精分割した卵の一部を染色体検査し、正常だった卵を子宮に移植するという方法です。現在当クリニックでは着床前診断はできませんので、ご希望の場合、他院へ紹介することになります。ただし、紹介してから着床前診断ができるまで数カ月から1年以上かかることがあります。また、着床前診断をしても最終的に元気な赤ちゃんを産める確率は約70%とあまり変わらないのが現状です。

不育症に対する末梢血染色体検査を実施しない場合

約5%の頻度でみつかるカップルの染色体異常がわからないと、次回の妊娠でも流産となる確率が約70%となります。ただし染色体異常が診断されても治療方法はありません。


それ以外の不育症に対する検査をして原因が分かればそれに対する治療をしていきます。

同意書の撤回について

同意書をいただいた後でも、同意を撤回することはできます。その場合は担当医と、よくご相談ください。また、同意をしなくても、今後の当クリニックでの治療において不利益を受けることは一切ありません。

不同意の場合の治療の継続について

染色体検査を実施することに同意できない場合は、担当医と今後の治療方法などについて、もう一度よくご相談ください。

質問の機会について

説明された内容についてわからないことがある場合は、ご遠慮なく担当医に質問をしてください。同意書をいただいたあとでも、質問することはできます。